今という時代

			時野流

翼をもぎとった親鳥は、
飛ぶことの出来ない雛鳥に”飛べ”とせかしている

新しいことを学ぼうとするときはみんな「赤ん坊」だね
だから、教師はそれを知らなきゃいけない
講義が雑音となる前にね

神となる者は平等を知り、人となる者は和を重んじる
敬われ、あるいは友を得るがため
平等を知りて、和を重んじるはなおよし
両者を知らずには、神ともなれず、人ともなれず

人は人の中にありて 人たらん
山海にありて 自然たらん
都会にありては 機械たらんや

空は高く 白き雲をともない
海は青く 生命を育む
山は偉大にして 虹色に変化する
されど、
大地は 鉄と石に覆われ
海は ヘドロにおかされ
大気は 煙で灰色に染まる

強き者は己を信じ、弱き者は神を信じる
では、我等は何を信じればよいのか

学問は具体的にして、芸術は抽象的なり
依りて、感性豊なれ
なれど、時代は学問を抽象化し、芸術を具体化しようと試みる
依りて、己を見失うなり

何かを得るということは何かを失うということ
”便利さ”を得ることも同じだよ
無くした”何か”を見落してやいないかい?

「死」はそんなに怖いものではないよ
ただね、成し遂げられない何かと、親しき者の悲しみが
ほんの少し重いだけさ

「生きる」ということは
周りの人間に「死」の重りをぶらさげること
そして、生きる目的を探すことなのさ